浅草神社・櫻山神社にて新型コロナ終息祈願と漆の奉納式

2020年8月19日、浅草神社（東京都台東区）と櫻山神社（岩手県盛岡市）において、
FEEL J株式会社を含む有志4社合同で、今年採取した岩手県産の漆と漆染めマスクを奉納し、
新型コロナウイルス感染症早期終息祈願祭を行いました。


浅草神社にて土師（はじ）宮司様と

浅草神社での奉納式について、2020年8月20日付けの東京新聞に、
https://www.tokyo-np.co.jp/article/49929



櫻山神社にて佐藤宮司様と

櫻山神社での奉納式については、同日の盛岡経済新聞に、掲載されました。
https://morioka.keizai.biz/headline/3132/


合同奉納をしたのは

・特定非営利活動法人ウルシネクスト（秋田県/東京都）
・一般社団法人次世代漆協会（岩手県）
・株式会社浄法寺漆産業（岩手県）
・FEEL J株式会社（東京都）

日頃より漆文化の振興やウルシの木の植栽活動を共にする仲間です。



コロナ禍においても無事に今年も漆が採取できたことに感謝し、
また、漆の永続性・抗菌性にもあやかって、新型コロナウィルス感染症による災禍が一日も早く終息することを願い、国産漆にもゆかりの深い両神社に奉納いたしました。


今年6-7月ごろに岩手県で採取された漆。漆掻きは毎年6月ごろから始まり、8月に出荷が始まります。
シーズン初めに採取された「初辺」と呼ばれる漆を奉納しました。


奉納した漆染めマスク。漆掻きをした後のウルシの木をチップにして染めています。
漆染めには抗菌効果があることが確認されています。

今回お世話になった櫻山神社、浅草神社。両神社とも国産漆に縁があります。

櫻⼭神社は盛岡城址にあり、盛岡藩の南部家ゆかりの神社です。

盛岡藩がウルシの植栽、漆掻きを積極的に奨励してきた歴史は、現在、全国随一の漆産地として日本の漆文化や文化財修復を支える岩手県の礎となっています。


浅草神社は江戸の三大祭りのひとつ「三社祭」で有名ですが、その社殿は約400年前に徳川三代将軍家光公により寄進された、総国産漆塗りによる権現造り⾵の⽊造建築物で、国の重要⽂化財にも指定されています。




この日、FEEL Jは、浅草神社での奉納式に参列いたしました。
祭壇には生漆（きうるし）と漆染めのマスク、そして、埼玉のウルシ植栽活動地「埼玉に漆を植える会（元・縄文うるしパーク）」のウルシの枝と苗のコケ玉もお供えしました。



当日は30℃を超える真夏日でしたが、厳かななかにも時折社殿を通り抜ける風が心地よく、また、漆の振興にお力添えくださる宮司様の祝詞やお言葉は熱く心に沁みました。

400年の間、江戸の大火をはじめ、関東大震災、東京大空襲などの数々の被災を免れてきた赤と黒の美しい漆塗り社殿は、今般のコロナ禍という苦境の中でもあり続ける象徴として、力強く私たちを見守ってくれるように感じます。





この社殿は前回の修営から20年以上が経過しており、そろそろ次の塗り直しの計画を立て始めています。ところが、現在国産漆の確保が大変難しい状況とのこと。浅草神社は国宝のため、漆への知見や意識が高いですが、多くの寺社ではそもそも漆を塗ること自体をあきらめてしまっているところが少なくないのだそうです。

全国各地の神社仏閣は、私たちの日常に溶け込んでいる身近な存在です。

特に浅草神社では、毎月1日に日本の伝統文化を体験できる「社子屋（やしろこや）」というワークショップや夏休みの子供向けプログラムなどが開催され、地域との交流が積極的に行われています。

このような寺社で、無理なく漆を使ってもらえるよう、さらに活動をひろげていこうと気持ちを新たにしました。

まずは、このたびの奉納に際してお世話になりました皆様に感謝するとともに、
コロナ禍が一日も早く収束し、人々が安心して生き生きと暮らせる世の中がもどることを、改めて祈念いたします。