檜原村の茶畑と漆
檜原村へ
茶畑の中のウルシの木
情報をくださったのは「ひのはら紅茶」の生産者、戸田雅子さん。
右から2人目が戸田さん。
戸田さんは都心で高校の先生をされていましたが、檜原村の豊かな自然に魅せられて移住。まもなく、村内に点在する放棄された茶畑に着目し、茶畑の整備と紅茶の生産を始めました。その活動を多くの賛同を集め、檜原村の地域活性化につながっています。
ウルシの木があったのは戸田さんのご自宅兼紅茶工房に隣接する茶畑の一角。
立派な木でした。もう漆が掻けそうです!
だれがいつ植えたのかは今や不明。
茶畑の整備に来ていた仲間が剪定したところかぶれてしまい、困っているけれど漆も貴重だから無駄にはしたくないと、情報をくださったのでした。
戦前の檜原村と漆掻き
戸田さんのウルシの木は、おそらく夏になれば漆掻きができるでしょう。
問題は地元に漆掻き職人がいないことです。
地元紙に寄稿された小さなエッセイによると、今は杉林や竹林になっているところに戦前まではウルシ畑があって、漆掻き職人が他所から来ていたのだそうです。
また、昼食をいただいたカフェ「せせらぎ」のマスターには、すぐ下を流れる川沿いにずっとウルシの木が生えていたと伺いました。
今後も探していくと、村内にはもっともっとウルシの木が残っているかもしれません。専門の漆掻き職人はひと夏かけて200~400本のウルシの木を掻くのが通常です。
遠方から職人を招くには、地域内にある程度の本数の木が無いと、仕事にならないのです。または、地元で漆掻きができる人がいればいいのですが。
ウルシの植栽活動
ウルシの木を植えたいとお考えの、地元の宮大工さんにもお会いしました。
お仕事柄、現在の漆の危機的状況をよく御存じで、後世に漆を残すためにご自身が所有する山にウルシの木を植えたいとのこと。
植栽予定地を見せていただきました。
そこは杉が伐採されている真っ最中。今後ハイキング道を作り、道沿いには紅葉の美しい木々を植え、ふだん子供などが入っていかない奥のエリアにはウルシを植える予定です。
ウルシも紅葉しますから、秋には彩りを添えてくれることでしょう。協力者は必要ですが、遊歩道の周囲であればアクセスしやすく、定期的な手入れも可能だと思います。
15年後の漆掻きができるころ、近隣に掻き手が育っているか、または他地域から来てもらえるぐらいの本数を育成できているか、何かサポートできることがあればと思います。
檜原村の魅力
檜原村の広い面積の9割以上を占めるのが森林。主要産業はやはり林業。
といっても、多くの日本の森林地域と同様に、国産材の需要の減少とともに産業が縮小し、人口も昭和40年ごろから年々減り続けています。空家、高齢化、獣害など、多くの過疎地域が抱えるのと同様の問題が山積です。
一方で、ほかの地方の山林エリアと雰囲気が異なるのは大都市圏が近いからでしょう、道沿いにはキャンプ場やカフェなど素敵なスポットがたくさん!オフシーズンだったのでほとんどがクローズしていたのが残念。近隣にはトレイルランニング愛好者も来ています。
滞在中、終始とてもポジティブなエネルギーを感じていました。
素敵なカフェや美しい森と川があったこと、ウルシの木があったことはもちろん魅力なのですが、なんといっても一番は人でした。
まず戸田雅子さんは一人で紅茶づくりを始めてしまうほどのバイタリティーの持ち主。
宮大工さんの山のハイキング道敷設は、村の有志の方々による取り組み。
そして、村役場にお邪魔して印象に残ったのは、ふらりと訪れた私たちに役場の皆さんがとても明るく大きな声で「おはようございます!」「こんにちは!」と次々に声をかけてくださったこと。なに、そんなこと?と思われるかもしれませんが、とても心に残るのです。各地の役所・役場を訪問する機会は比較的多いのですが、こんなに雰囲気の明るい役場は初めてでした。
ユーモアとアイデア溢れる明るいお人柄の村長さんにもご挨拶させていただきました。
戸田さんとサポーターの皆さんが作る「ひのはら紅茶」もとても美味しい。
すっきりとした優しい味わいで飲みやすいです。日常のお茶にいいですね。
戸田雅子さん。明るくて、前向きで、情熱的で、とても素敵な方でした!
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『檜原雅子開墾団』
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訪問先:東京都檜原村