香川漆器を体感 「讃岐漆芸美術館」

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香川県高松市のウルシと漆器を訪ねてきました。

ウルシスト講座の受講生でも、香川県高松市が漆器の産地であることをご存知の方はあまり多くはありません。
高松の漆器を説明するときは、少々難しい漢字を使わなくてはなりません。

「蒟醤」
「存清」
「彫漆」

読めますか?

「蒟醤(きんま)」
「存清(ぞんせい)」
「彫漆(ちょうしつ)」

実は、漆芸の分野で人間国宝(無形重要文化財保持者)を最も多く輩出しているのは香川県なのです。蒟醤(きんま)や存清(ぞんせい)といった、色漆を駆使した非常に精巧な技法の作品が目立ちます。

このように伝統工芸界では確たる地位を形成している香川漆器ですが、一般の知名度は決して高くないのも事実。日常の漆器もたくさん作られているので、もっと多くの方に香川漆器の魅力を知っていただきたいと、先日、高松を訪問してきました。


こちらは、高松の市街地から車で10分ほどのところにある『讃岐漆芸美術館』で出していただいたコーヒーとスイーツ。
カップもお皿もトレイもカトラリーもすべて香川漆器です。
産地を訪問しても大きな街であればあるほど本来の漆器で頂くことができるお店は少ないので貴重です。

『讃岐漆芸美術館』
小規模な美術館ですが、1階のカフェでは漆器で食事ができ、2階の展示スペースではアート作品を見ることができます。
このアート作品が本当に見事です!
磯井正美氏など人間国宝の作品から、素晴らしい技術がありながら無名のままこの世を去った作家の作品、現代の若手の作家まで、間近に見ることができました。
しかも、美術館オーナーの多田博文さんの解説を聞きながら。

いわゆる伝統工芸品は、日常使いの生活工芸品と芸術的価値の高い美術工芸品に分類することができます(あえて分けるならば、ですが)。なかでも漆器には美術的要素が高い漆芸品が多く見られますが、殊に香川漆器にはその傾向を強く感じます。

香川漆器の歴史を少し書きます。
江戸時代、松平家が治めていた高松藩では漆工芸が奨励されていましたが、現在の香川漆器は幕末に登場したこの人物なしには語れません。

玉楮象谷(たまかじぞうこく)1806-1869

江戸末期の高松で活躍した漆職人で、今日の香川漆器の祖と言われます。

象谷は、京都に伝来していた中国や東南アジアの漆工品を研究し、その技法を取り入れながら独自の技法として完成させて、「蒟醤」「存清」「彫漆」という現在の特徴ある香川漆器の基礎を作りました。

厚く何層にも塗り重ねた色漆の層を刀(ケン)という彫刻刀で彫り、金を多用した蒔絵とは異なる独特の世界観を生み出します。

お皿やお茶道具などの立体作品が多くみられますが、
「讃岐漆芸美術館」で拝見した漆絵やオブジェが素晴らしく、
何よりも、オーナーさんがひとつひとつの作品と作家さんへの深い愛情をこめて、丁寧に説明をしてくださることに、感動しました。


「讃岐漆芸美術館」では、体験ワークショップも受け付けています。


ちょうどこの日は、熊本からゼミ旅行に来ていた大学生たちがお箸の絵付けに挑戦していました!

香川漆器ならではのカラフルな色漆を使います。


斬新!

カラフルな色漆を自由な発想で楽しめるワークショップは香川漆器を体感するのに理想的。
たくさんの方に参加していただけたらいいなと思います。

香川漆器を見学できる美術館は他にもあります。
たとえば高松市立美術館は市街地にあるとてもきれいな美術館。
近代・現代の作品が常設で見学でき、規模も適度なので短時間でも堪能することができます。

ただ、作家の情熱がほとばしるような作品の数々を目の前に、美術館オーナーの香川漆芸への熱い想いを感じ、自らも漆器に触れ、堪能し、体感できる空間はこの讃岐漆芸美術館に勝るところはないでしょう。

作品の一部は購入することもできます。
ぜひ訪れてみてください。

香川はアートフェスも盛んな地域。
瀬戸内国際芸術祭は特に有名。
香川漆器に、芸術をこよなく愛する讃岐の人々の感性を感じました。

訪問先:
讃岐漆芸美術館