根来寺 根来塗

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根来寺の根来塗を訪ねました。

かつて、根来寺の僧侶たちが仏具や自らが使う食器のために作っていた根来塗は、
400年以上前に秀吉の侵攻によって途絶えてしまい、幻の塗りと言われることもあります。

秀吉の襲撃から難を逃れた僧侶たちの一部が紀州海南へ、一部が輪島にたどり着いて、現地の漆器づくりに影響を与えたといわれています。

現在、一般に流通している‘根来塗’は、使い込まれた昔の根来塗を模倣したもので、
もともと鮮やかなオレンジに近い朱色にところどころ黒色が覗いているように仕上げます。

本来の根来塗は朱色一色。その下地に黒が塗ってあり、使い込むことで上の朱色が摩耗して下地の黒が見えてくる、というものでした。
すなわち、下地は非常に堅牢で何百年の使用にも耐えるが、上塗りは刷毛目を残した粗野な塗り、というつくり。
当時の根来塗の下地が最も近い形で残っているのが輪島塗なのです。輪島塗との関係については諸説ありますが、時代考証から考えても信ぴょう性が高いように感じられます。
本来の根来塗。
すでに途絶えてしまったと聞かされ、私自身も最近までそう思っていたのですが、これを復興させている工房がありました。

根来塗曙山会の池ノ上曙山氏。
工房を見学させていただき、お話を伺うことができました。

池ノ上氏はもともと文化財修復の仕事に関わられていたことがきっかけで、根来塗の技法の復元をすることに成功されました。
いまは根来寺のふもとにある岩出市資料館の中の工房で、創作と後進の育成に努めていらっしゃいます。

工房には10代から80代までの広い年代の方々が総勢約60名、かわるがわる研修に来ています。
そのなかから優秀な技術者が選ばれて、プロとして養成されていきます。

研修は塗りのヘラを作るための刀研ぎから始まり、下地が一人前にできるようになるまでに最低10年。徹底的に道具から下地づくりの技術を磨きます。

鮮やかな朱の上塗りは1回。
工房に飾られていた池ノ上氏の作品は、久しぶりに衝撃を感じるほどの存在感でした。


工房の近くでは、ウルシの木の植栽も行っているそうです。
もう9年になるそうですが、なかなか手入れまで手が行き届かないようで、苦労されている様子もうかがえました。

根来寺根来塗のホームページはこちらです。
http://negoronuri.com/index.html

池ノ上氏の工房展は
東京では11月2日〜8日 京王デパートにて
大坂では12月20日〜26日 あべのハルカス近鉄にて
開催されるとのこと。
お近くの方は是非、復興された古来の根来塗をご覧になってみてください。

訪問先:岩出資料館内 根来寺根来塗 工房