NPO法人麗潤館(大子)のウルシ植栽

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茨城県大子町で、漆の植栽・漆掻き職人の支援などの活動を行っている「NPO法人麗潤館」のウルシ植栽活動に、Act.CSUサポーター会員さんと参加してきました。

「NPO法人麗潤館」は大子の漆を支えるため2013年11月に設立され、3年前の春から毎年ボランティアを募って植栽活動を続けています。
素晴らしいのは、毎年地元の方が多数集まって継続されていること。
全国でウルシの植栽が始まりつつありますが、これほど地元の方が大勢参加されている活動は多くないと思います。

今年は3月11日に総勢60名が集まり、850本のウルシの苗木を植えました。

当日はお天気も良くて植栽日和。畑は事前に綺麗に耕され、植栽箇所にはピンクの紐で印がつけられていました。

植栽地は旧コンニャク畑でした。この地域は江戸時代から続くコンニャク芋の産地でしたが、年々生産者は減っており、休耕地となっていたところが活用されました。ウルシは樹木ですが、生育条件を考えると山林のなかよりも畑の方が適しているため休耕地活用は大変有効なのです。

漆掻き歴60年の飛田さんをはじめとする5名の漆掻きさんをリーダーに、

班に分かれて作業開始。
私たちが参加した班のリーダーは女性漆掻きの益子さん。

苗は種から育てる「実生(みしょう)式」と木の根を分ける「分根(ぶんこん)式」があるが、この日の苗は「分根式」。1年で1mほどに成長したものを1本ずつ植えていきます。

1.穴を掘る
2.ウルシの苗を入れる。
3.根に土をかけて軽く振る(根の間に土を入れる)
4.土をちゃんとかける
5.苗の周りを軽く踏んで押さえる
6.目印が付いた棒を苗木の横に立てる

と、作業自体は非常に簡単なのですが、

土いじりに慣れない私たちがシャベルを持ってもたもたしていると、
益子さんが明るく声をかけてくださり、ちゃっちゃと手伝ってくださいます。

休憩タイムには差し入れのお茶やお菓子がたくさん。
植栽は農作業だから大変そうだなぁと思っておりましたが、お天気にも恵まれ、皆さんとのおしゃべりにも花が咲き、楽しい!!

とはいえ、楽しんでばかりいないで役割をきちんと果たさなくては。
なんといっても、自分の植えた苗には名札を立てるのですから責任重大。

名札を立てると一段と愛着がわきます。がんばって大きくなれー!

それにしても、苗木850本分の名札を用意してくださった麗潤館の方々、理事長の矢﨑さんの熱意には頭が下がる思いでした。この活動が地元に根付いていること、毎年大勢の参加者が集まることは、このような地道な努力の賜物なのだと実感します。

「大子漆」は特産品として、地元にしっかりと根を張っています。

この地はご存じ水戸光圀公の御膝元。漆の生産は黄門さまの時代から奨励されていました。
農家がウルシの木を植え、掻き子が漆を掻く。その仕組みが江戸期から昭和期まで成り立っていました。
江戸時代は塗り物のためというよりは、タネから蝋燭の蝋を採ることが主な目的でした。
その後、戦前は軍需塗料として、戦後は輪島塗などの高級漆器用として、漆液の生産が盛んになっていくのですが、昭和の後半からは需要が激減したために、大子漆も担い手とウルシの木を失っていきました。
大子のまち自体も、過疎化が進んでいきます。

そんななか、10年ほど前に飛田さんを中心に大子漆の保全を目的とする植栽活動が始まり、3年前にはNPO麗潤館も設立されました。
そして2年前、国産漆は重要文化財修復用に大きな需要が見込まれるようになりました。
生活漆器も見直されています。

一方で材料である漆液の生産が絶えようとしている。産地が自らの宝を守らなければ。地元の方々はそう感じているのでしょう。
茨城出身の知人が、大子は地元愛の強い方々がしっかりと根付いているところ、と教えてくれました。

大子が安定供給地として復活することは、他地域でウルシの植栽に取り組む方々にも勇気を与えてくれることと思います。

日本人と漆の1万年の歴史において、いまは一つの転換期を迎えています。途絶えようとしていた漆の需要が行政力をもって復活したものの、生産側へのサポートは無い状況。実は人の暮らしにとても深く関係しているにも関わらず、多くの人がそのことに気付いていない危機。10年後、木と漆の美しく温かなうつわを楽しめるかどうかは、いまの私たちににかかっています。

今回は苗木の植栽に参加しましたが、実は本当に大変なのは下草刈りです。
夏にはこの日植えた1mほどの苗木がすっかり見えなくなってしまうほどに雑草が伸びます。
苗木の横に立てるピンクの目印は、草に埋もれてしまわないためのものなのです。
ある程度成長した木の周りは機械で草刈りができますが、若木の植栽地はなんと手刈りです!

この広さを手刈り・・・

想像しただけで途方にくれますが、日当たりと風通しと水はけが必要なウルシの木には必須な作業です。しかも夏場は漆掻きさんが一番忙しい時期。重労働の漆掻きと下草刈りの両立は、周囲のサポート無しではできません。

この日植えたウルシの木の漆掻きができるようになるまで10年強。木々の成長を見届けるためにも、次は下草刈りに来なくては。

下草刈りは5-6月ごろから始まります。ご協力くださる方はぜひコンタクトください。
作業が終わったら、濃厚卵の奥久慈しゃも親子丼という楽しみもありますし!

これ美味しかった!

ステキな古民家カフェがあったり、日本三名瀑として名高い袋田の滝があったり、漆以外にも大子の魅力は奥深いですね。

大子の観光情報は常陸大子駅前のこちらへ。無料レンタサイクルもありますよ!

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