第8回奇数の会 「寺社フェス『向源』 meets 日本橋!!」

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2011年9月。
品川の天台宗の寺院、常行寺で、僧侶になりたての若い副住職が友人たちに声をかけて音楽イベントを開く。東日本大震災を経験し、知らず知らずのうちに心に緊張感を抱えていた若者たちの共感を得て、翌年は日本文化の体験ワークショップを加えて少しだけ大きなイベントになった。
勢いは加速していく。
宗派と宗教を越えていく。
次の年からは、浄土宗大本山増上寺へと会場を移した。年々参加者は増え、コンテンツも厚みを増し、5年目の2015年にはゴールデンウィークの2日間で6000人を集める大イベントにまで急成長した。
そして今年、彼らはお寺を飛び出し街に出て、1週間で15000人を集めるイベントを目指している。
イベントの名前は、世界最大の寺社フェス『向源』。

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私が向源に出逢ったのは2年前。友人を通じてこのイベントを知り、ワークショップに参加してみたのが最初のきっかけでした。
神社とお寺が宗派や宗教を超えて開催する、日本の伝統文化や仏教の世界を体験できるイベントで、その内容は写経、お香、書、花、脳科学に暗闇ごはんと、多種多様。
開催を支えているのはすべてボランティアのスタッフたち。
今までの仏教やお寺のイメージを打ち砕くコンテンツはもとより、イベントのすさまじい求心力と成長力に興味を持ちました。

第8回目の奇数の会は、この注目すべき寺社フェス『向源』の発起人であり代表の友光雅臣さん、私に『向源』を教えてくれた友人であり、向源実行委員会事務局長の横川広幸さんをお迎えして開催しました。

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横川さんは仏具を海外に販売する仕事柄、グローバルでフラットな視点の持ち主。仏教のみならず、世界の宗教について広い知識を持つ彼の話にはいつも引き込まれます。

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常行寺の副住職を務める友光さんの人生はまるでドラマのよう。もともとお寺の息子ではなく、神様も仏様もわからない音楽が大好きな、云わば‘フツウ’の若者でした。高校時代から付き合っていた彼女がお寺の娘。23歳になったある日、お義母さんに声をかけられます。
「お坊さんになる?」
そこから始まった勉強と修行。特に2か月間の比叡山での修業は、肉体的にも精神的にも限界まで追いつめられる厳しい日々。
でもそのなかで気付いたことがありました。仏教は信じることを強要しているのではないし、信じる者が救われるとか、信じないと地獄に落ちるとか、そういう教えではないのだと。苦難にぶつかったときにそれを乗り越える方法を教えてくれるもの、自分と向き合い、自分を見つめることを教えてくれるもの。
無事に修行を終えてお寺に入り1年ほどたったころ、あの東日本大震災が起こりました。
東京にいても、誰もが何かしなければという焦り、何もできないという無力感、これからどうなるのかという恐怖感で心がいっぱいになっているそのときに、最初の向源が始まりました。
友光さんはみんなに伝えます。お寺で少し落ち着いた音楽を聴きましょう。畳の上でゆっくりしましょう。お経を聞くけれども東日本大震災の慰霊の場ではありません。あなた自身を見つめましょう。あなたが何をしたいかを見つめましょう。その結果が慰霊ならばそれも良い。でもまずはあなた自身と向き合いましょう。

向源。
その名のとおり、源に向かう。自分自身に向き合う。
それは、友光さんの一貫したメッセージであり、関わる人も内容も加速度的に拡大する「向源」というイベントの、常に一本筋の通った理念でもありました。

ボランティアのスタッフも、ワークショップの参加者も、自分を見つめて自分のやりたいことを見つける場であってほしい。自分自身が楽しいと思ってもらえればいい。
向源の原動力と求心力はここにありました。

2016年の向源は、4月29日から5月5日の7日間。集客目標は15000人。
初日の神田明神に始まり、4月30日~5月4日は日本橋の街中でワークショップ、最終日は増上寺で締めくくります。会場に選ばれた日本橋は、江戸時代から江戸のまちの起点として、町人文化発展の基盤として栄えてきた場所です。

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100以上の講演やワークショップが予定されていますが、その中で私自身が興味を持ったもののひとつに、仏教の声明を宗教音楽と捉えて世界の宗教音楽と比較共演する企画がありました。

外国人観光客が想定以上のペースで急増している東京というまちで、世界各地で争いの絶えないこの時代に、仏教の根本である‘原点に向き合う’という理念のもとに世界の宗教がコラボする。今だからこそ求められ、日本の仏教だからこそ可能なチャレンジではないでしょうか。

向源がいま目指すのは2020年。東京オリンピック開催期間中の1か月間は10か所でワークショップを開催して、外国人観光客600万人に日本文化を体験していってほしいという目標を掲げています。そのためには延べ20万人のボランティアを必要とするという目論見があります。実現したら、なんとポジティブでエネルギッシュな光景でしょう。向源ならば実現させる!そう感じました。

今回の奇数の会も、知的好奇心を活性化する盛り沢山な内容となりました。
仏教については素人の踏み込んだ質問にも分かりやすく快く応え、短い時間の中で声明体験までさせてくださった友光さん、軽快明快に向源の説明をしてくださった横川さん、ありがとうございました。
お神酒をご提供くださった浅草神社様にも感謝申し上げます。皆で乾杯して美味しくいただきました。

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私からは簡単な日本橋のまち紹介と日本橋老舗の食材を使ったお花見ごはんを。

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楽しいひとときでした。
ご参加の皆様、ありがとうございました。
仏教を学んで宗教者になった一人の若者の「せっかく学んだことを同世代の人にもっと伝えなきゃ!」という素直な熱い気持ちはこの日も会場にビンビンと伝わって、参加者の中には、帰り道に早速ボランティアに申し込まれた方も。嬉しいです!
私もほんの少しですが、お手伝いさせていただくことになりました。
ちなみにこの「させていただく」という表現は、日本橋にやってきた近江商人が使い始めた浄土真宗由来の言葉だそうです。

この日は向源で円空仏を彫るワークショップを担当する彫刻師の林雄一さんもご参加くださいました。

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円空仏を彫るということはまさにその時の自分に向き合うこと。これまでに小学生から90代の年配の方まで500人の方が参加している毎年人気のコースです。

向源のワークショップは事前の申し込みがおすすめです(3月末から募集開始予定)。
http://kohgen.org/

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第8回 奇数の会「寺社フェス『向源』meets 日本橋!!」

主催:  FEEL J
ゲスト: 「向源」代表 友光雅臣氏、 「向源実行委員会」事務局長 横川広幸氏
協力:
「向源実行委員会」 http://kohgen.org/
「LEAGUE」 http://league-ginza.com/