奇数の会 Special Edition 「うるしのヒミツ ~会津の塗師と語らう」

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会津の塗師、冨樫孝男さんが小さな箱を開けるとたちまち会場に広がる感嘆と驚愕の声。

「わぁ~!」「へぇ~!」「おぉ~!」

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チョコレート…!?

「これ、全部漆です。」

2016年2月4日、奇数の会Special Edition「うるしのヒミツ ~会津の塗師と語らう~」を開催しました。

ゲストは9月に引き続き、会津漆器『めぐる』の総責任者、株式会社 明天の貝沼航さん、そして、『めぐる』の塗りも手掛ける会津の塗師、富樫孝男さん。

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貝沼さんが企画・販売する『めぐる』は、会津の漆器職人が本来の作りにこだわり、使い手の親から子へ孫へと引き継がれることを願い、一方で使い手と作り手が繋がりを持つこと、さらには日本の漆の文化の継承へと繋がることまでをコンセプトにした会津漆器です。昨年はグッドデザイン賞、ウッドデザイン賞も受賞しました。

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冨樫さんは会津の塗師屋「塗師 一富」さんの三代目。問屋や販売店からの注文を受けて塗りを請負う塗師屋の家業を継いだ一方で、作家としてオリジナルの作品も作っています。
若いころは家業を継ぐことに反発したこともありました。暗い蔵の中で手と服を真っ黒にしてひたすら漆を塗る祖父や父親の姿を見ながら幼少期を過ごし、継ぎたいとは思えなかったのだそうです。その後、輪島で勉強し、長野の師匠のところで修業。次第に漆の奥深さ、楽しさを知るようになります。

会津は請負を主力とする産地でした。問屋や販売店からの注文を待つ受け身の姿勢。しかも、時代のニーズに応えてコストカットを重視した安価な漆器を生産する産地へと変化していきました。
漆器の需要が減り、注文も減って、自分の代で家業を閉じる塗師が多いなか、冨樫さんの存在は会津の未来のためにとても貴重です。量産型とは一線を画した、手を抜かない正真正銘の漆を使った漆器。一度は会津を離れて磨いてきた高い技術と、会津の伝統的なもの含めて100種類を超える多様な技法を積極的に取り入れる試みが、見る人の目と心を奪うオリジナル作品を生み出しています。

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「これ、本当に漆?」
冨樫さんの作品はそんな驚きで私たちを楽しませてくれるのです。

もう一つ、冨樫さんの話で印象に残ったことがありました。
「修理が一番難しい。」
駆け出しの職人が修理から仕事を始めるというのはよくある話だけれども、実際のところ修理ほど難しい仕事はない。本来は全ての作り、産地、技法をマスターしていないと受けられないこと。
冨樫さんの仕事に対する真摯な姿勢と強烈なプロ意識を垣間見た思いでした。

会場に集まったのは、普段あまり漆器を使うことのない方から、ウルシストを自称する主催者にも負けず劣らずの漆器愛好家の方まで様々。
『めぐる』を手に触れ、眺め、そして実際に器を使ってお食事もしてみました。

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ある参加者の方からお話をいただきました。

お茶道具や観賞用の漆器ならば高額でも買って大事に使おうと思うけれど、普段使いのためにわざわざ高いものを買うのは躊躇してしまう。普段使いに高価なものを使うのなんてもったいないと。

すごく分かります。

では、考え方をちょっと変えてみたらどうだろう…。丈夫で、繰り返し使うことによってさらに磨かれていって、いつか万が一壊れてしまっても直すことができる漆器。一生のうちに何万回も使うことを考えれば本当は高くはないのかもしれない…。

普段の暮らしをもっと大切にしたいな。
和食が世界遺産になったけれど、食べ物だけではなくて日々の食事そのものが和食の文化。
子どもと、家族と共有する時間であり、季節の移ろいを楽しむ時間でもある。
お箸を持ち、お味噌汁のお椀に口をつけてすすり、思わず「はぁ~、美味しい」と声が出る。それもみんな和食の文化。

漆のお猪口。長い間使っていつかは子供に譲りたいと思うと、高いとは思わなかったなぁ。

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そんな話があちこちから出てくるうちに、半信半疑だった参加者の皆さんも少しずつ気持ちにも少しずつ変化が。

丁寧に扱わなくてはいけないモノと思って仕舞い込んでいたけれど、まずは家にある漆器を出して使ってみようと思います。

どんどん普段から使いましょうという気持ちになりました。

など。

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漆器は育てる器。
使えば使うほど美しくなる。花塗りの器は次第に艶を増していきますし、透き漆の透明度は増して中の色が浮き出してきます。それが楽しい。

貝沼さんは言います。
「使う人が何を選ぶか、どう選ぶかで、生産側が変わる。100円均一の商品しか買わないようになれば、そういう産業しか残らない。」

それは、FEEL J奇数の会と思いを共有していました。
使い手がホンモノを選ぶことがホンモノを残すこと。
そのために、次世代に繋ぎたいホンモノを知り、見る目を養い、楽しむ気持ちを育む。
時代のニーズに敏感な会津がホンモノの漆器産地としての未来を築くかどうかは、私たちがそれを見極める目を持てるかどうかにかかっているように思います。

最後に、この日に召し上がっていただいた会津の食材について。

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会津のお米「天のつぶ」を使った『笑むすび ~from會津』。代表の山田みきさんがお米で人と笑顔を結びます。この日は6種類の笑むすびを用意してくださいました。

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それから参鶏湯風スープ。
笑むすびと参鶏湯の両方に使われていたのが会津の伝統野菜、会津御種人蔘(別名:高麗人参)。
御種人蔘は会津藩が徳川幕府から種を譲り受けて栽培を始めてからちょうど今年で300年。非常に歴史のある特産品ですが、生育に手間と時間がかかること、外国産に押されて価格競争力が低下したことなどを背景に、30年前に360軒あった農家が3年前には10軒に減りました。
このままでは会津伝統の作物が消えてしまうと立ち上がったのが清水琢さん。ご実家は漢方を扱う薬草店。いまは自ら畑に立って御種人蔘の生産に取り組んでいます。5名で立ち上げた研究会も今や25名に増え、生産者も15軒に。
会場では、貝沼さんと一緒に作成してくれたビデオレターで清水さんもイベントに参加。
会津の未来はおもしろいぞーと思った瞬間でした。

改めまして、今回も、ご参加くださいました皆様、サポートをしてくださった皆様、ありがとうございました!

これからも会津からは目を離せません。また近いうちに続編を開催しましょう!

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奇数の会Special Edition「うるしのヒミツ ~会津の塗師と語らう~」

主催:  FEEL J
ゲスト: 「塗師 一富」 冨樫孝男氏、 株式会社明天 貝沼航氏
協力:
「LEAGUE」 http://league-ginza.com/
「笑むすび ~from會津」 山田みき氏
「清水薬草有限会社」 会津御種人蔘生産者 清水琢氏
「めぐる」   http://meguru-urushi.com/
「テマヒマうつわ旅」 http://tematrip.com/