大子(だいご)で漆掻き体験

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茨城県の北部、栃木との県境にある大子(だいご)町は、岩手県二戸市浄法寺に次ぐ国産漆の産地。
大子の漆を未来に繋ぐ活動をしているNPO法人麗潤館さんが主催する、漆掻き体験に参加してきました。

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そこは奥久慈と呼ばれる自然の美しい地域。
近くには日本三大瀑布の1つである景勝地、袋田の滝もあります。
大子では古くから漆掻きが行われていました。
しかし、漆の需要は減るにしたがい、漆の生産量も漆掻き職人(掻き子といいます)も著しく減っていきます。

10年ほど前、耕作放棄地を活用した植樹が始まりました。3年前にはNPO法人麗潤館も設立されます。

漆は山に生えている印象が強いですが、実は風通しと日当たりのよい平地の方が生育に向いています。

少し坂を上った高台に、その植栽地はありました。
眼前に広がるウルシの木々のなんと美しいこと。

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既に葉が落ちて、白っぽい木肌があらわになったウルシの林は、初冬の日の光を浴びて輝いていました。

この日の漆掻き体験のリーダー先生は掻き子の飛田さん。

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この道60年のベテランです。
小柄な体でひょいひょいと飛び回って作業を進める飛田さん、なんと御年80歳。全然見えない!!

そして、飛田さんと一緒に教えてくださる漆掻きさんたちが数名。
参加者は班に分かれていざ漆掻きへ!
わたしたちの班の先生は、8年ほど前から飛田さんのもとで漆掻きを始めた大竹さん。

まずは漆桶の持ち方から。

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この漆桶、地域で呼び名が違います。
浄法寺ではタカッポと教わってきましたが、大子ではチャンポというそうです。
どちらの名前もちょっとかわいい!

そして、こちらが漆掻き道具。

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右から削り鎌・掻き鎌・ヘラ

削り鎌で木の硬い皮を削り、

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掻き鎌で横一線に皮を掻く。

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掻いた後にもう一度細い線を入れると、
そこから漆液がにじみ出てきます。
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ヘラでその漆液を掻き採り、
漆桶に入れます。

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何度か繰り返してもまだこんなにちょっぴり。
少ないのには理由があります。

まずはそもそも、漆液は1本の木から約200ccしか採れません。大変貴重な樹液です。
そして、今はすでに漆掻きシーズンがほぼ終わりだったことも要因の一つ。掻き入れ時は忙しくてなかなか素人の体験はさせていただけませんから。
もう一つはこの木が雌木だったため。漆の木には雌木と雄木があります。雌木は実を成らせるので漆液は少ないそうです。
そして最大の理由は、私たちの技術ですね。

同じ道具を使っても、漆液の収量は掻き子の腕前によってかなり差が出るのです。

さてこの道具、特に掻き鎌は、特異な形をしています。

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最近はTV番組でも取り上げられていますが、
この掻き鎌を作る鍛冶屋さんが現在日本に1人しかいません。しかもご高齢です。
最近お弟子さんが入られましたので、なんとか技術が継承されて欲しいと願うばかりです。

一方で、なぜそんなにこの道具作りが難しいのだろうと不思議でもありました。
今回その貴重な道具を使わせていただいて、感じたことがあります。

生きた木の樹皮は思った以上に固いものです。
そして、ひとつひとつの木は太さが違います。
漆液は樹皮を深く掻きすぎても採ることができず、程よい深さでテンポよく掻いていくことが必要です。

初心者の私でも、テンポよくとはいきませんが、この道具を使えばある程度一定の深さで樹皮を掻くことができます。
一方で、私が掻いてもほとんど漆が出ない木から、大竹さんが掻くとジワリと漆液がにじみ出てきます。

刃物の切れ味と絶妙な形状、そして掻き子の技の三位一体があって初めて漆掻きの仕事ができるのだと実感しました。

通常、漆掻きのシーズンは6月の入梅の頃から10月中旬。
体験した日はすでに11月下旬でしたから、シーズンは終了。高品質な漆はもう採れません。
この時期は、ひと夏掻いたウルシの木を伐採して、その木に残った最後の最後の漆を採る「裏目掻き」をします。

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実は、少し前までは漆の需要が少なかったので、裏目掻きはしないことも多かったそうです。
ところが、昨年文化庁から重要文化財の修復には全て国産漆を使うという方針が出て以来、
裏目の漆もぜひ!と注文が殺到しているそうです。

ということで、この日は裏目掻きも体験。
木を根元からチェーンソーで伐採し、皆で寄ってたかって細い枝の方まで漆掻き。
木の命をいただく貴重な漆。1滴たりとも無駄にしないように。

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裏目掻きのお手本を見せてくださったのは女性の掻き子の益子さん。笑顔がとってもチャーミング。

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大子では女性も掻き子さんとして活躍しています。

飛田さんはおっしゃいます。
このままだと日本の漆は無くなってしまう。
文化庁の方針が出てきて以来、どんどん採ってください、植えてください、とは言われるけれど、数少ない高齢の掻き子だけでは到底追いつかない。
いままでつかってくれていた作家さんたちにもきちんと供給したい。
皆で協力して漆を育て、採って行かなくては続かない。

掻き子もまだまだ募集中。

漆掻き職人に関心のある方、まずは体験してみたい方、
美しい大子の町を訪ねてみたい方、住んでみたい方、

ぜひNPO法人 麗潤館さんにお問い合わせしてみてください。

Act.CSUとしても応援してまいります。

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